ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第13巻

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国際印刷大学校研究報告 第13巻

12■国際印刷大学校研究報告第13巻(2013)広い視野から考えるべきである。一部の印刷業は逓減対応策として市場競争力を強化するため組織を統合させている。新事業としてサービス業化,情報サービス業化を志向している。サービス業化は雇用創出・維持の選択肢の1つである。その情報サービス業は印刷業とほぼ同数の企業が既に存在しており,興亡が熾烈かつ最も短命な業種である。従って,サービス業化は市場競争力優位性を確保するため独自の経営ビジョンを掲げ,サービス対象目標の洞察,研究開発・技術導入および管理体制が必須となる。しかし,現在の印刷業の研究開発実施率は統計上1.20%であり,情報サービス業の実施率を100%とするとその実施率が12.9%(表1)であるに過ぎない。印刷業の1社当たり平均研究開発費は2.86百万円,情報サービス業の研究開発費を100%とすると39.3%である。図2は印刷業,情報サービス業および製造業の経営体制の相違を示す。印刷業の経営体制は電子媒体が浸透していなかった時期の複製業務体制を表す。印刷物の社会価値,印刷技術の用途および印刷業の経営体制はこれまでその時代その国の必要性(統治),異業種の先端技術の取り込みおよび企業家に支えられて形成されており,今後もITとの融合・補完,技術深堀およびサービス業化(M&A)で分化していくと考えられる。また,サービス業化の成功率・顧客満足度を高めるには,従業者への動機付けのための社内情報共有,情報サービスとの差別化,設計・デザイン機能付加のための研究開発など課題が山積している。むすび印刷業は紙媒体の存在を前提に行政や庶民の需要に支えられ,その時代における異業種の最先端技術を導入しながら内需受注賃加工経営体制を形成させてきた。電子媒体の出現は印刷物の需要量の逓減を加速させている。雇用維持および逓減対応策としてサービス業化があり,その実現には経営体制の再構築,新技術導入を絶やさないなどの課題がある。文献1)尾鍋史彦(2012)『紙と印刷の文化録』印刷学会出版部。2)総務省(2012)・中小企業庁『科学技術研究調査報告・中小企業実態基本調査2011年実施』。(1)加工型・印刷業経営管理加工操作印刷設備機械コンテンツ発行コンテンツ購読(3)供給型・製造業投資戦略設計生産設備資源エネルギー製品消費者(2)仲介型・情報サービス業仲介発想ソフトシステムハード社会インフラ情報発信者情報収集者図2 営業経営体制の相違(概略)製造業 うち印刷・同関連業情報通信業 うち情報サービス業研究開発母数(社)415,18430,52851,56527,707実施22,3373673,3072,574実施率(%)5.391.206.419.29研究開発費百万円/社17.632.866.367.27海外子会社事業所等6,12672655505保有(社)1.480.241.271.82保有率(%)表1 研究開発および海外展開(文献2)