ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第13巻

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国際印刷大学校研究報告 第13巻

13プリンテッドエレクトロニクスの概要■1. はじめに過去、絶対的に「リソグラフィ法」即ち印刷に於ける製版・刷版のエッチング技術を使った半導体の微細パターン形成が主流に成っていたが、今や、半導体の低コスト化を長く支えてきた微細化技術に危機が迫っている。メモリや論理LSIを微細化しても、リソグラフィ・コストの上昇やデバイスの物理的な限界によって、コストが下がらなくなってきた。この状況の打開策として、450㎜ウエハーの大口径化とEUV露光装置の実用化により半導体のコストダウンに挑戦しているが、この為には多大な投資や困難が予想される。「はこれまで、「リソグラフィ」の進化でコストを下げられたがそれが行き詰まってきた。」と大手半導体メーカーの幹部は危機を認めている。おそらく今後、工場建設に少なくとも約8000億~1兆円の膨大な費用が必要になると言われている。以上述べた様に「リソグラフィ」は現在、限界が見えている。この様な「リソグラフィ」の問題点を解消しょうとして、新たに「プリンタブルエレクトロニクス」そして更に、進化して「プリンテッドエレクトロニクス」と呼ばれる新しい印刷技術を利用した「印刷エレクトロニクス」が登場し、各種企業が参加し激しい研究開発が進められた。「リソグラフィ」に比べて「プリンテッドエレクトロニクス」の優位性は1)基材に対して塗布とパターニングを同時に行なうというプロセス数削減2)必要な部分のみに材料を付与することによる高い材料利用効率3)本来印刷が持っている生産の高速性が、挙げられエレクトロニクス用途にも期待される。2. プリンテッドエレクトロニクスとはプリンテッドエレクトロニクス(Printed Electronics)とは、プリンティング(印刷)技術を活用し、電子回路/センサー/素子などを製造することを意味する。これまでは「将来はプリンティング法で可能になるであろう」との観点から、プリンタブルエレクトロニクス(Printable Electronics)と言われた。最近では、「技術的には可能になっている」との観点から、プリンテッドエレクトロニクス(Printed Electronics)と言われている。そして、メンブレン・キーボードの電極印刷、自動車の窓ガラス熱線、RFID(Radio Frequency Identification)タグアンテナなどに既に応用されてきた。プリンテッドエレクトロニクス技術を活用して作成される電子機器は柔軟性を持つことから、フレキシブル・エレクトロニクス(Flexible Electronics)とも言われて、大面積薄膜の太陽光発電等のエレクトロニクス製品を実現するものと期待されている。既に述べた様に現在、ほとんどの半導体/ディスプレイ/電子製品はフォトリソグラフィー技術を用いている。しかしながら、この方式では安価な製造は限界があり更に、大面積化は限界がある。又化学物質の使用量減少が期待でき地球環境にやさしいプロセスとしても注目される。手 塚 博 昭プリンテッドエレクトロニクスの概要A Summary of Printed ElectronicsHiroaki TEZUKA