ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第13巻

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国際印刷大学校研究報告 第13巻

14■国際印刷大学校研究報告第13巻(2013)3. プリンテッドエレクトロニクスと印刷法印刷版式には1)凹版(グラビア)印刷、2)凸版(活版、フレキソ)印刷、3)平版(オフセット)印刷、4)孔版(スクリーン)印刷、そして無版として5)インキジェット方式があり、それぞれの印刷方式には特色がある。高機能厚膜回路の作成にはスクリーン印刷が主として使われており、現在、高精度のスクリーン印刷機が開発がなされている。更に、ロール・ツー・ロ?ル(RtoR)の高スループットの機械も開発され、高精細で信頼性の高いスクリーン印刷を行なうには、印刷機、スクリーン版、インク材料、プロセス技術又印刷パターン設計等の更なる開発を必要としている。又、一部でEBでエッチング(~10nmの微細パターン形成)を使う凸版印刷法の「マイクロコンタクトプリント法」が高精細のパターン形成法として注目されている。現在、産総研等で無版で非接触のインクジェット法が盛んに研究開発が進んでいる事が報告され、特に超微細インクジェットが最近、直径1ミクロン以下のドットを印刷出来る様になった。パソコン等の電子機器につかわれている半導体、特に有機デバイスをフレキシブルなプラスチック基板上に、室温に近い低温で作成が可能になった。更に、高精細有機ELパネル、電池、センサー等の応用も考られている。インクジェット法は無版の特徴を生かして、現状「プリンテッドエレクトロニクス」ではある程度進化した地位を確立してきた。「電子ペーパー」は次世代のディスプレイとして、全世界の企業や研究機関が熾烈な開発競争を行っている。また有機TFT駆動カラー液晶パネルも、精細度80ppiの高精細パネルが実現された。近年、地球環境・エネルギー問題がますます複合化の中、有機薄膜太陽電池が広く注目されてきた。今世紀に入って太陽電池の市場は拡大したが、現在主に使われているSiシリコンを用いた場合、製造コストが高く普及に障害になっている。そのため、世界中で、新型太陽電池、即ち有機薄膜太陽電池が活発に研究開発がされてきた。変換効率と耐久性が課題であったが、三菱化学が9.6%の世界最高の変換効率の有機薄膜太陽電池を開発した。更なる効率アップが望まれる。作成法は、n型、p-n型、p型有機半導体、透明導電層等をプラスチック基板上に順次ロール・ツー・ロ―ルの印刷法で形成する。4.課題と将来IDT echEx Ltdの報告書では、「プリンテッドエレクトロニクス」の市場は2015年に世界市場で250億ドル、そして2022年に450億ドルに拡大し、更に、市場は膨張すると予想されている。まさしく印刷業界に於いて、「プリンテッドエレクトロニクス」は千載一遇の好機であり、電子書籍等とともにこの分野に積極的に参画する事が重要である。更に、JAPERA(次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合)の井上専務理事は「プリンテッドエレクトロニクスの原点に戻って、キラー・アプリを探す呪縛から逃れる事が重要だ」と話す。「従来の半導体技術は大型投資が必要で、それに見合う十分な規模の市場、すなわち「キラー・アプリ」が必要だった。一方で、プリンテッドエレクトロニクスは小型の装置で少量多品種生産が得意で、特徴である。それを生かして、既存製品の置き換えを狙うのではなく、ユーザーが欲しい製品を受注生産すればよい」と指摘する。すなわち、日本の得意な「オン・デマンド生産」を目指すべきである。しかし、「プリンテッドエレクトロニクス」にはまだまだ未熟であり、更に一層の技術革新が求められている。その為には、印刷メーカーのみならずインク、機械メーカーの協力及び産学官の連携が必要であろう。※文献リストは誌面の都合でHPに掲載しました。