ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第13巻

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国際印刷大学校研究報告 第13巻

19東日本大震災の支援調査活動(1)■木 下 堯 博東日本大震災の支援調査活動(1)An East Japan Great Earthquake Disaster & Support Activities (part 1)Akihiro KINOSHITA1、はじめに新学期の準備のため各地に出張を予定していたが2011年3月11日の東日本大震災のため交通機関の乱れなどあったが、同日、急遽上京することが出来た。関東地方はまだ余震が続き、東京中心部の宿泊した高層ホテルで、かなりの揺れが感じられた。公式の会議や講演会などは中止又は延期となったが、3月16日のプライバシーマーク認証のための審査会(ジャグラ主催)は開催された。席上、ジャグラの東北地方会員の被害状況などを守田専務理事らと情報交換が出来た。3月14日には全日本印刷工業組合連合会の水上光啓会長ともMeetingを行ない、多種情報を収集した。岩手、宮城、福島各県印刷工業組合の訪問に際し、紹介状なども頂いた。印刷産業も壊滅的な被害を受け、特に印刷用紙や印刷インキの入手が困難になっていた。また、現地では停電、断水などで生活インフラも分断され、事業継続もままならない状況であった。3月22日、急遽、渡韓し、人材と資材の供給源である永進専門大学(テグ広域市)と斗山重工業(昌原市)を訪問し、日韓両国の印刷産業が活発な情報交流などのため「日韓共同・印刷支援センター」(1)を設置し、皆様のご協力により、支援調査活動を開始した。以後、東北地方に10回、韓国に10回、その他、地方5回出張し、支援調査活動を行いながら、2011年6月号の印刷情報誌の第1報から2012年12月号の第20報までまとめてきた。(2) 但し、第11報は国際印刷大学校研究報告第12巻巻頭言(2012年3月刊行)で「東日本大震災とdrupa2012」と題し、drupa会場で配布し、ドイツの印刷メディア系大学でMeetingを行なった。本論はこの第20報の連載の内、紙面の都合で第1報から第10報を中心として標記題目で新しいデータなどを追加してまとめた。2、支援調査概要と対応「括弧は関連の報数を示す」(2-1)大学の役割;日本は印刷メディアの出荷額が世界第2位にもかかわらず、印刷関連を研究・教育する大学が無くなり、今回の大災害による印刷産業の危機的状況を中立的立場より、支援する大学機関が存在しなかった。海外では例えば海藻からの製紙技術やその印刷適性など代替技術の確立が着実に進展している。日本では印刷技術面からの危機管理の地道な研究の積み上げがなく、一部インキや紙を輸入するという手段で危機的状況を乗り越えた。また、2011年5月に校正印刷会社での胆管癌による死亡の報道あり、これらを学術的に調査研究する印刷研究機関や中立的な学会レベルでの調査発表もなかった。JP2012の開催中の2012年6月15日、NHKテレビの熱視線(関西)特集で大阪のオフセット校正印刷会社で胆管癌により7名の作業員が死亡した内容が30分番組で放映され、全国的な話題となった。調査された産業医科大学の熊谷信二先生(労働環境学)のもとでMeetingする機会があり、更に安全情報センター誌2012年11月号での中間調査報告などを入手した。又、労働の科学誌2012年10月号では片岡明彦氏が発症状況などを詳細にまとめている。今回の死亡原因は印刷ローラやオフセットブランケット洗浄剤に含まれていた1,2ジクロロプロパン、次いでジクロロメタンと推定している。2012年11月19日、日本フォーム印刷工業連合会では「有機則・PRTR法に該当しない洗浄剤の挑戦」のセミナーが開催され、印刷企業から5社、印刷材料企業から5社の発表があり、印刷の生産性と洗浄力の有機溶媒リスク管理との相互依存性が中心的話題であった。後日、連合会から各社