ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第13巻

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国際印刷大学校研究報告 第13巻

20■国際印刷大学校研究報告第13巻(2013)の発表要旨(3)が送付された。「第1報」「第18報」「page2013 Open Event」(2-2)印刷出荷額;東北6県の2008年、印刷出荷額は2935億円(全国;6兆7378億円)で、岩手、宮城、福島各県の2268億円となり、被害の大きかった沿岸部の各都市の出荷額が大きい。また、内陸部でも地震による機械設備の被害が大きいところもあった。仙台市内のT印刷会社では断裁機が移動して、壁を突き破ったとのことで修復に日数を要した。「第2報」(2-3)印刷文化財;平泉の中尊寺の世界遺産決定が2011年6月26日で、著者らは2011年7月2日に訪問した。宋版一切経は無事であることを確認した。また、2011年10月には韓国海印寺にある八万大蔵経の木版の開版1000年祭に参加し、モンゴルの襲撃から守った重要文化財の価値は永遠に次世代に継承されていた。「第3報」(2-4)ソウル印刷情報産業協同組合の来日;2011年7月7日、ソウル印刷情報産業協同組合(南元浩理事長)の一行8名が、東京都印刷工業組合(水上光啓理事長)を訪問し、新理事長就任の挨拶と新体制の紹介のあと、東日本大震災の助け合いのため、義援金を水上理事長に贈呈した。従来まで、日韓印刷交流は不定期であったが、今後はテーマを設定し、定期的な交流の提案があり、日本側も早急に検討することになった。その後の交流で2013年から本格的に印刷の電子化・IT化が進展する中で、クラウド・コンピュータ時代にふさわしい、新しいビジネスモデルの立ち上げも共同で研究開発していくことになるであろう。韓国には出版及び印刷関連の教育機関が日本よりも多くなり、出版や印刷に関する伝統文化の継承が行なわれている。「第4報」(2-5)風評被害及び印刷企業の活性化;2011年8月下旬、東北地方の印刷・同関連業の支援・調査活動に参加し、宮城県印刷工業組合を中心とし風評被害について調査した。2011年7月の調査では、福島県印刷工業組合で風評被害を第一として、線量計などを持参し、対応しているとのことであったが、風評被害は拡大していった。風評被害は放射性物質による商品又はサービスなどの買い控え、取引停止などにより発生した被害といわれている。風評被害の払拭に向けた国民への明確なメッセージの発信、需要拡大へ向けたシステムの長期継続の実施が先決である。風評被害の原因はマスコミの報道の影響とみられるが、その受け手の消費者にも原因がある。誠実なコミニュケーションの努力により、風評被害を解決することが必要であろう。(4)2011年8月の支援活動は仙台市を中心として、宮城県印刷工業組合、東北堂印刷㈱、仙台活性化研究センター、日本製紙石巻などの他、現地の支援調査協力者の岩淵和則氏(栗原市)との情報交換も行った。2011年8月26日、宮城県印刷会館でJAGAT主催のJUMP東北2011(復興へ、未来へ、夢へ)の集いにも参加した。「第5報」(2-6)事業継続計画;2011年10月上旬、東北地方の印刷・同関連業の支援・調査活動に参加し、7月に調査した福島県印刷工業組合で事業継続計画(BCP)や風評被害などの討論を行なった。このBCPは東日本大震災のような緊急事態の場合、被害を最小限にし、早期に復旧を実現するために、この緊急時に行う方法や手段などを予め準備し、事業継続計画を策定することが必要である。アンケートで東日本大震災の前までにBCPを策定していた企業は7.8%で、印刷企業では6.5%と低下した。特に最低限、必要な項目は事務所や工場との緊急連絡体制、従業員と家族の安全確認である。愛知県印刷工業組合では「あいちBCPモデル」BCP取組み事例集(5) 制作に協力し、組合員各社の事例が紹介されている。今回の広域の大災害では「被災前の企業活動にいち早く復帰」しても、需要がなければ成り立たず、需要確保のための営業管理が大切である。(6)「 第6報」(2-7)IGAS,KIPES展;2011年9月16日からIGAS2011が東京ビッグサイト(TBS)で開催され、6日間の会期中7万3千人(海外参加者は約5%)の入場者があった。東館1~6号館が利用されたが、前回よりも出展社数は減少、東日本大震災の影響が多分にあるものと思われる。今回の展示内容は商業印刷よりも紙器・パッケージ関連の展示が多かった。初日の全印工連フォーラムでは、今後の印刷界の展望が示された。翌日の国際印刷大学校主催の「日韓印刷文化シンポジュウム」(7) は大変好評であり、印刷文化の振興が印刷産業の発展に今後も寄与していくことを確認した。9月29日から同シンポジュウムの謝礼を兼ね渡韓した。新装増設され、TBSの1.3倍の