ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第13巻

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国際印刷大学校研究報告 第13巻

1印刷プロパーの大学教員の養成の必要性The Necessity of Training Proper Professor in PrintingMichitaka NONAKA野 中 通 敬 日本印刷新聞の2013年の新年特集にこの年の4つの予測が掲載されており、それらは(1)製造と販売の分離 (2)過度の品質要求の是正と標準的な印刷物の需要 (3)電子書籍に対する消費者側の判断 (4)業界クラウドの構築とネットワーク上での協業化の増進が取り上げられていた。簡単な印刷物はITシステムに、複雑で高度の印刷物は従来通りの方式で作られるであろうとも記されている。これからは両方式の長所を生かしながら共存していく時代が続くであろうと思われる。したがって従来の方式の印刷技術も生き続けるであろう。 私事にわたるが、千葉大学の故國司 龍郎先生が現役の時担当されていた会津大学短大部産業情報科デザインコースの「印刷概論」を同三宅 洋一先生が2年間、その後同甘利 武司先生が引き継いでいたが、2000年私の学位取得時、私が「視覚情報伝達論B」として引き継ぎ、70歳となった昨年の12月1日、13年間の担当を終わることになり、後輩で三菱製紙㈱の白河営業所所長をされていた井上 信一氏に引き継いでもらうことになった。彼の研究分野は印刷のドットゲインであった。後継者選定時に千葉大の若い先生を候補にしたが、研究分野がCGやコンピュータ画像処理で、会津大学もコンピュータに強く、同じ分野の候補者はいくらでもおり、学生の中ではグラフィックデザイナーを目指しているものがいるので、どうしても印刷プロパーの先生に引き継いでほしいとの強い要望があり、井上氏を選定した。 大学の教官、教員としての、印刷関連工業会のプロジェクトの学識経験者、都の技能照査試験問題等審査委員等の役割があり、印刷プロパーの大学教員が必要なはずである。千葉大では印刷教育を放棄したため、45歳以下の教官は印刷教育を受けていない。前印刷学会会長の高橋 恭介先生は、写真工学科出身の為、千葉大の印刷工学科の助手になったとき、細川活版印刷㈱に現場の印刷を勉強しに行っていたと聞いている。千葉大の若い先生に、将来の印刷プロパーをめざして、印刷会社に現場の製版、印刷の実技を習いに行くことを希望する。現場で製版、印刷の何に注目し、どの程度精密に作業すべきかを掴んでほしい。 印刷技術にコンピュータが導入され出した時、印刷をコンピュータ画像処理の一分野に追いやることで関連各大学の印刷教育を無くしていったことは間違いであって、印刷産業にとってコンピュータ画像処理は、印刷機、インク、紙と同様に要素の一つと見なすべきであった。 これから印刷プロパーを目指す教員があれば、印刷のみならず、あと一科目、一般物理、一般化学、コンピュータ概論のどれかの講義も出来るようになることが必要であると思う。 また、現在画像工学科で行われている2,3科目の印刷関連授業では、学生に将来印刷界に参入しようとする意欲を持たせることは出来ず、学科規模の印刷教育が必要である。 印刷教員の養成についてばかり記したが、大学レベルの印刷教育を受ける機関は、この国際印刷大学校の通信教育しかないので、広く活用されることを希望する。巻頭言印刷プロパーの大学教員の養成の必要性■