ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第14巻
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国際印刷大学校研究報告 第14巻
8■国際印刷大学校研究報告第14巻(2014) このような装置を身に付けると、喫茶店へ行く予定をしていたとき、忘れてもかまわないことを意味する。フェイスブックや未来のNSAのような機関にすると喫茶店Aから喫茶店Bへ案内するようになるかもしれない。 SF小説が長い間使ってきた思考実験のポイントはコンピュータと統計データで心が管理できるということである。5.不完全さの災い 伝統的なSF小説の内容は悪者を全能に仕立てることである。ここでは有能な悪者が考えるほど悪ではないが不完全さがもたらす災いについて話してみる。 利益追求のためにコンピュータを動かしたのは産業の後押しがあった。最初、利益追求は成果を上げたが結局はおろかなことに終った。現実に起きた事例がある。米国の健康保険会社が行った大量統計データの計算がその例である。会社は短期の利益を上げるために高リスクの被保険者を避けようとした。その結果が保険に入らなかった人が莫大な数になっただけであった。 現代の経済を考えてみよう。統計データに頼る経済計画は成功している。充分なデータを正確に計算することによって世界の事件を予測する事ができる。しかしビッグデータ計画は最後には失敗するだろう。孤立した統計データは現実の一断面しか反映しているにすぎないからである。 ビッグデータ経済は個人のプライバシィ(例えば担保、預金)は侵害しないことにしている。しかしビッグデータ経済が1998年に起きた失敗により個人プライバシィが侵害された。6.ビッグデータの正確な量 大勢の人間の情報を集め、解析する企業に勤める者は馬鹿げた自慢をしたがる。よく聞く自慢は「まもなく巨大コンピュータによって消費者の動向を予測し、目標とすべき消費者を見つけられるようになる。この結果から企業は簡単に経営方針を変えられるようになる。磁石が鉄片を吸いつけるようにコンピュータは金を集める事が出来る」 同様に行政が市民の情報を集める場合、犯罪人やテロリストを捕えるのに有効であると宣伝している。しかし行政は世界中の人間のデータを持っているわけでない。 SF映画でもこの問題を何回も扱ってきたが、「犯罪前」という映画は犯罪を行う前に犯罪人を逮捕するというものである。しかし巨大システムでデータを集め、解析しても犯罪前の逮捕は不可能であるということである。 危険な事はビッグデータの統計解析は完全であるという幻想を作り出すことである。そして我々個人生活の莫大な情報が利用されていないが蓄えられ、解析されているということである。7.ソフトウェアは法律である 次のような話をよく聞く。「インターネットやコミュニケーション器具はプライバシィ保護を時代遅れのものにする」しかしこれは必ずしも当たっていない。インターネットシステムは一度出来るとシステムの変更は難しい。システムは閉じ込められてしまう。しかしネット上のプライバシィは閉じ込められていない。こういった場合、プライバシィと便利さ、プライバシィと安全との釣り合いで議論しがちであるが、コンピュータはプログラムで動くものであることを忘れてはいけない。 ソフトウェアはコンピュータにつなぎ、あるものを得る手段であるから、ソフトウェアが認めたことはコンピュータでも認められるものである。ソフトウェアが出来ない事は利用者にも出来ない。例えばオバマケア(医療保険制度改革)はある州の喫煙者は理論上、非喫煙者の健康のために保険代を負担するとしている。「理論上」というのは米国の健康予算の法律的枠組みを施行するソフトウェアに喫煙者に罰則を科すと書かれていないからである。このように法律は罰則なしでは効力を持たない。ソフトウェアが書きなおされるまで待たねばならない。法律でも実際に起き