ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第14巻

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国際印刷大学校研究報告 第14巻

10■国際印刷大学校研究報告第14巻(2014)野 中 通 敬印刷画像の定量解析(Ⅰ)Quantitative Analysis of Printing Image (1)Michitaka NONAKA1.緒言 印刷には古い歴史があり、ほとんど経験の集積で出来上がっている。しかし一般にはあまり注目されていないが、一部に理論的に、定量的に表せる項目がある。以下にそれらの項目を取り上げ、詳述し後世に残していきたいと思う。まず印刷での濃度とドットゲインの表現について記述する。2.印刷での濃度(濃淡諧調)の表現 以前は、カラ―原稿はほとんど透過フィルムで、色分解、網撮り等はカラ―スキャナーの透過率測定で為されていた。現在のデジタルカラ―原稿による印刷では、透過濃度よりも反射濃度を知ることが重要となっている。そこで以下に反射濃度について記述する。 濃度を感じる感覚は相対的である。また紙等の反射率は紙表面の構造が影響するため一律には定義できない。そこで正式には、標準白色面として、酸化マグネシウム膜などの完全拡散面の、どの角度から見ても放射輝度一定の板を準備し、それに例えば入射角90°で入射する一定の光量が標準白色面で45°方向に反射する光量をI0とし、同角度の濃度を知りたい印刷物への同量の入射光量が45°方向に反射する光量をIとすると、その印刷物の反射率RはR=I/I0であらわされる。反射率が高いと明るく、低いと暗く見え、印刷物の濃度が高いと反射率は小さな値になり、濃度が低いと大きな値になるので、反射率の逆数1/Rが濃度を表すとすれば、濃度が高いと大きな値になり、濃度が低いと小さな値になり、見た目と数値の大小が対応することになる。 さらに人間の目が濃度を感じる感じ方に、ウエーバー&フェフィナ―の法則があてはまる。上記の濃度の数値をx=1/Rとすると、例えばxの値がxΔ変化しx+Δxとなった時始めてその濃度が変化したと感じることが出来たとする。その事は、xの値にかかわらず比k=Δx/xが一定の値となる時おこるというのがウエーバー&フェフィナ―の法則である。したがって、xが小さな値で、濃度の低い場合はΔxも小さな値となり、xが大きな値で、濃度の高い場合は、Δxも大きな値となる。しかし比は一定である。それが当てはまるようにするには、まさに1/Rの値を常用対数値に変換することにより可能となり、その値が人間の目で見た濃度に正確に対応するようになる。したがって濃度DはD=log1/Rで表される。この対数関数を指数関数で表記すると、10D=1/Rしたがって10-D=Rの濃度と反射率の関係式が導かれる。3.ドットゲイン(網点の太り)について ドットゲインの定義について明確に説明された文献は見当たらないので、ここに詳述することにする。 ドットゲインには2種類ある。ひとつはメカニカルドットゲイン(物理的トットゲイン)とオプティカルドットゲイン(光学的ドットゲイン)である。 メカニカルドットゲインは、刷版上の網点面積比が、印刷時の印圧で紙に転移した時、増加することで、インクジェット印刷では、設定した網点面積比よりも印刷物の面積比が増加することに相当するであろう。現在印圧はなるたけ低くしているため、ほとんどメカニカルドットゲインの影響は考慮しなくてよいと考えられる。