ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第14巻
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国際印刷大学校研究報告 第14巻
14■国際印刷大学校研究報告第14巻(2014)島内には多言語移民族国家が群立,南欧から渡来してきた移民がギリシャ・ローマの議会民主政治制度や個性尊重・自由な雇用形態,キリスト教などを持ち込み,激しい覇権争奪戦と宗教弾圧が長期期間繰り返され,殺戮と功利主義が横行している。20世紀まで異民族・異教徒同士が抗争および西欧大陸諸国と相互に侵略戦争が繰り返されている。 同業は15世紀に書写物,特に聖書の大量複写業として誕生している。聖書と書籍の量産は1600年代に封建絶対君主に依る民主政治制度を求める平民および宗派の対立による犠牲者数を増やしている。1850年代の英国は織物機械および輸送手段の動力熱源に石炭を利用,織物の国内生産体制が家内から工業へ転換された。麻・綿織物産業は原料輸入決済資金として銀の確保および製品の輸出先となる未開発国の社会情報を必要とした。同業は農業社会から工業化社会への産業構造転換,工場の工員養成・教育に大きく寄与している。この当時の日本は,武士階級が国家を統治する農業国家であり,幕藩の下級武士の中に欧米から法令,火薬,鉄砲などの技術の導入を志向する者が現れ,日本人が日本国内で初めて金属活字の開発に着手した文明開化の時代である。1950年代は,英国では植民地が独立,活版印刷業が衰退し始めた時期,日本では第二次世界大戦の敗戦に因り国外から兵隊と満蒙開拓農民が帰還,謄写版業が活版印刷業へ転業した時期である。英国の植民地化政策は英語圏の人口数を日本語圏よりも10倍以上多くさせた。英語圏の人口数の多さは同業の国際市場規模を巨大にしている。と同時に,旧植民地の同業は国際ネットワーク型産業社会において英国本土企業と競合する立場になり始めた。英国の同業は情報手段の技術革新に晒され,生き残り策として大企業が印刷技術の用途拡張および零細中小企業がサービス業化を模索している。2.エジンバラ市の中小印刷関連業のサービス提供形態 スコットランド(「S国」,5百万人,2010年)は11世紀に独立,人口数が不安定,出身国や言語が多様な農業国である。農民は飢饉やペスト,イングランドから弾圧を受ける都度,大量に国外へ移住している。農民不足になると他国から農民が大量にS国へ移入している。過去の合計移住数が現人口数の5倍と推計されている移民国家である。 エジンバラ市(「同市」,人口数52万人,2012年)は石器時代から丘の上に形成された集落を中心に発達している城塞都市である。丘は先住民族語で“崖の要塞”と呼ばれ,三方が急峻な崖であり北海を含む四方が眺望できる。同市は丘の周辺に中世の教会が立ち並ぶ旧王都,S国の現首都である。夏期の一時期に人口数が百万人規模となる観光都市,日没時刻が夏期午後10時半(夏時間),冬期午後3時半である。 印刷業は産業革命期からビクトリア王朝時代(1860年代)の期間に繁栄を極めた。その当時の従業者は離農者であり,1860年代に印刷手作業の機械化によって解雇された。解雇者には彫金,装飾,文具細工デザインなどの技能者が数千人以上いた。解雇された一部は技能,技術を基盤に転業,サービス業・商店を開業した。昔日の繁栄の面影は同市内にある国立やPeople’ s Story,Writer,Childhoodなどの博物館に展示されている。同市(2010年)およびS国(2000年)の同業従業者数はともに千人以下へ下落,逓減が続いている。零細中小同業は市街地に点在,事務機器・文房具の販売業,写真館または設計・デザイン業のいずれかを兼業している。独や仏など数ヶ国の言語の通常ラジオ放送(10局弱)が自由に傍受できる。 現在,印刷物の小売販売店は新刊書籍,絵本,リサイクル(古)本および新聞の種別で異なっている。新刊書籍を販売する大書店は2店ある。1店(A)は推定売場面積3千㎡,全ジャンルを販売,他の1店(B)は2.5千㎡,学術専門書を中心に販売,出版している。両店に共通している店内サービスは,顧客が購入したいと思う本を吟味するための椅子を各階に数脚設置,書籍の値引きの恩典および喫茶店を併設(A店は児童室をも併設)していることにある。値引きの恩典とは,書店が指定する新刊書を1冊購入した顧客がその書店の売れ残り本から自分で選んだ1冊を無料で貰えることである。2冊(書名が異なってもよい)の購入者は購入した2冊目が半額,3冊の購入者は購入した3冊目が無料になる場合がある。この恩典制度は全国大規模小売店(スーパー)で一