ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第14巻

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国際印刷大学校研究報告 第14巻

16■国際印刷大学校研究報告第14巻(2014)手 塚 博 昭1.はじめに 近年、ナノパターンの複製技術としてナノインプリントという印刷技術が脚光を浴びて来ている。 特に1990年代後半に、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を用いた10nm以下の複製技術1),2)が紹介されてから、当技術は10年を経たずにハーフピッチ(hp)32nm以降の半導体製造技術の有力なプロセス技術として、研究・開発・実用化が進められている。 前から、印刷業界に於いては、半導体パターンニング用の焼き付け原版(フォトマスク)をICメーカー等に供給して来た。これは印刷製版技術を応用したもので、微細エッチング加工がその基本である。このナノパターン複製技術に於いて、印刷でいうところの版の役割をするモールドの製造技術が、ナノパターニングを実現するうえで重要な役割を担っている。 印刷業界は電子デバイスの益々の高集積化に伴い、従来のフォトマスクを使用したフォトリソグラフィ技術ではデバイスの性能改善に2010年以降に限界が訪れることが明確になり、ナノインプリントの原版であるモールド(テンプレート)の実用化に積極的に取り組んでいる。3) nmオーダーの微細な構造を利用して、電子デバイスの特性を一気に高めたい、しかも低コストで。この相反する要望に応えられるのが、ナノインプリント技術である。具体的な開発事例が明らかになったデバイスだけでも、FPDやHDD,LSIと幅広く使われている。 FPDやHDD,LSI以外にも、プリント配線板やDNAチップ、光集積回路など、nmオーダーの微細なパターンを必要とする電子デバイスは増加する。 そのため、ナノインプリントを活用出来る潜在市場は、2010年以降に急拡大して、2030年には10兆円を超えると、特許庁では予測する。4)2.ナノインプリント技術 ナノインプリントは、光デスク製作で良く知られているエンボス技術を発展させ、その解像性を高めた技術であり、凹凸のパターンを形成したテンプレート(モールド)を基板上の液状ポリマーなどへ押し付けパターンを転写するものである。10nmレベルのナノ構造体を、安価に大量生産が出来、かつ高精度化が可能である。 1995年にプリンストン大学のChou教授が、ポリマーのガラス転移温度付近昇温、冷却過程により10nmパターン転写が可能ナノインプリント技術及びナノインプリントモールドの概要Abstract of Nanoimprint and Nanoinprint MoldHiroaki TEZUKA(4)冷却(5)ナノスタンパ剥離ナノスタンパ(2)基盤加熱(3)ナノスタンパ押付ナノスタンパ(1)レジスト塗布加熱ステージレジスト剤基盤図1 熱ナノインプリントプロセスの概念図