ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第14巻

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概要

国際印刷大学校研究報告 第14巻

4■国際印刷大学校研究報告第14巻(2014)は、工場内で吸着分解除去する方式などが考えられる。 水上印刷㈱多摩工場(東京都)では2011年からVOC削減に関する処理装置のテストを重ねて来た。2013年1月に島津システムソリューションズ㈱からVOC処理装置「N1005」(光触媒によるVOC除去装置)を導入した。 導入直後の2013年2月6日、page2013でその概要の報告を同社松崎生産本部長に依頼した。(内容は国際印刷大学校ホーム頁参照) 2013年3月27日にはプレス発表を行ない広く公開された。この光触媒によるVOC除去システムは世界で初めてであり、工場内のクリーン化には最適な装置で、水上印刷㈱での利用報告が期待されていた。2013年10月2日JGAS2013の会場である東京ビッグサイトで第2回の報告会が同社荻野管理本部長により行なわれた。 光触媒として酸化チタンを利用し、VOC吸着はゼオライトで行なう方式は愛媛大学などで研究が進められていた。酸化チタンは東京理科大学の藤嶋昭学長が東京大学でVOCなどの吸着分解研究を推進し、今日に至っている。 光触媒利用に関し、水上社長と東京理科大学で藤嶋学長を2012年9月14日に訪問し、印刷界での利用に関し、快諾を頂いた。 VOC削減率は平均して1189ppmCから49ppmCに削減され、その削減率は96%と高削減率となった。 フイルター交換も3ヶ月に1回程度と持続性が高かった。 (1)フィルター新品時点(2013年3月) 1,189ppmC⇒47ppmC (2)洗浄500回後(2013年6月) 1,412ppmC⇒105ppmC 導入直後、水上印刷㈱多摩工場で3月27日プレス発表会で配布された各部所でのVOC濃度を示している。ローラ洗浄中のVOC濃度が2560ppmCと最も高かった。洗浄液缶上部も当然、高濃度となった。使用ずみウエスの保管も蓋をして密閉することが大切である。 韓国でも大洋パッケージ㈱(安山市)で同じように3台のオフセット印刷機上に排気装置が導入されている。このシステムは始興市のU技研の設計製造でVOCを吸引し、活性炭で吸着させ、清浄空気を外部に排出させるシステムである。このU技研にはその設計思想などについてMeetingを行なった。 VOC削減率とコストの関連は今後の推移を調査し、より良い装置に改良していくことが印刷産業界で必要ともなろう。4.厚生労働省の対応 厚生労働省ではオフセット校正印刷業からの胆管がん発症と死亡例からいち早く、対策に乗り出し、模擬工場での実証試験を実施した。また、印刷会社の18,131社に対し調査を行なった。 有機溶剤の管理状況では局所排気又はプッシュプル型換気装置の設置を行なっている40.4%、また、全体排気装置の設置64.6%となった。しかし、有機溶剤等の環境測定は14.7%と極端に低くなっていた。 更に、2012年9月に「印刷事業所で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」が5回開催され、2013年3月に「1,2-DCPに長期間、高濃度ばく露したことが原因で発症した蓋然性が極めて高い」との結論をまとめた。 今後の対応として、ハロゲン化炭化水素類の発がん性がどのような条件の基で、人間に現実化するかという問題に対し、代謝過程の定量的解析を行ない、発がん性メカニズムの解明が必要であると慶応大学の桜井名誉教授は述べている。 2013年10月1日から労働安全衛生法施行令の一部が改正され、1,2-DCPが重量0.1%以上含有する製剤を提供する時にはその名称を表示しなければならない。 屋内作業で1,2-DCPが1%を超えた製剤で印刷機械など清掃する業務に3年以上従事した経験