ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第14巻

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国際印刷大学校研究報告 第14巻

7ネット時代のプライバシィをどう考えるか■2.プライバシィとは何か プライバシィの概念は文化によって異なる。ニュウメキシコで育った私はある夏、現地人のプエプロ族と生活したことがある。彼らは考古学者を民族の秘密を暴いて文化を壊す者と考えていた。この話をしてくれた老夫婦には息子がいて、その息子は考古学だった。一方、中国からの留学生はノックをしないで部屋へ入る事が失礼であることが理解できなかった。プライバシィは中国人の例のように文化によって変わる。 携帯パソコンに馴れた若者と防犯カメラを腹正しく思う老人とはプライバシィの考えが異なる。フェイスブックのような企業は便利がられる反面、批判も受けている。NSAや諜報機関の活動に満足している若者はフェイスブックに賛成しているがプライバシィを主張する団体は批判的である。 プライバシィが政治の問題になると、国はテロリストを捕えるために個人情報を解析しなければならないと主張し、政治的に取引して解決してしまう。 政治的には安全と言う毛布にくるまれた枠組みの中で終わりになってしまうが、人々はあることのためにどの位プライバシィを「喜んで諦める事ができるだろうか」?この考えにはプライバシィの要求は時代遅れという概念が暗黙のうちにある。重病を治すためにどんな苦い薬でも飲むべきだという要求に似ている。この場合、患者は巧妙に薬を止めるべきだということである。 プライバシィについての概念が変わりやすく、その判断も間違いやすいので、プライバシィに関する話題を避けようとする。しかしそれは誤りである。民族や文化にそれぞれの価値があるならば、プライバシィの扱い方もそれぞれの方法も考えられる。文化の多様性は基本的に正しいとして扱うべきである。言い換えれば、文化(思考、情報の習性)を良いものとしてプライバシィの主張は正しいとする立場である。プライバシィは一つの倫理に縛られることはないし、さまざまなレベルのプライバシィの中から自由に選んで生活するものだ。3.プライバシィの力 情報時代では、プライバシィはある人には利用可能で他の人には利用不可能な情報になった。プライバシィは管理可能な者の意のままになる。 富と権力を追求する者にとって情報は常に重要であったが、情報時代では最大の武器になった。情報の力は金、政治、権力と離れがたくなっている。大規模な経済計画はコンピュータに頼っている。大型コンピュータは一般の企業には直接利益をもたらさないがマクロの経済効果をもたらしている。グーグルやフェスブックのような企業は物を売っていないが「宣伝」の効率を上げるために大型コンピュータを使用している。そこでは個人情報が簡単に晒される危険に陥っている。また最近の選挙は大型コンピュータに頼り説得できる選挙人を探し出し考えを変えさせようとしている。プライバシィは個人とビジネス、個人と政治との間のバランスの中心になるものである。 このような状況ではプライバシィを守らなければ力を失ってしまう。プライバシィを守る事は基本的に個人の雑務になる。4.ゾンビの脅迫 大容量のコンピュータを持つ監視人がある人の個人情報を得たとすると、その人の考え、行動を予測する事が出来る。現在は実用されていないが明日になれば使えるようになる接続装置を想像してみよう。それは耳の後ろに付ける布切れのようなもので、喫茶店に入るかどうか迷っている人に気付ぬ間に直接脳に信号を送るものである。 カリフォルニア大学の学者は人が見るもの、想像するもの、話そうとするものを表示することが可能にしている。以前に測定した脳の想像測定値と現在の脳の値との磁気的共鳴の「ビッグデータ」を電算処理することによって可能になる。統計学を利用して心を読むことが可能になっている。