ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第16巻

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国際印刷大学校研究報告 第16巻

■国際印刷大学校研究報告第16巻(2016)表3工業統計表の印刷・同関連業の分類区分およびその番号(2008年改正)旧細分類(4桁区分番号)新細分類(4桁区分番号)商品品目細分類(6桁)の例印刷業1611オフセット印刷業(紙に対するもの)1511,オフオフセット印刷物151111,とっ版印セット印刷以外の印刷業(紙に対するもの)1512,刷物151211,おう版印刷物151212,製版業1621製本業1631印刷物加工業1632紙以外の印刷業1513製版業1521製本業1531印刷物加工業1532紙以外に対する印刷物151311,写真製版152111,フォトマスク152113,活字152114,銅おう版・木版彫刻製版152115印刷関連サービス業1691印刷関連サービス業1591出典:経済産業省(2009)の産業分類コンバートデータ。2008年の工業統計の回答事業所数は1事業所当たり従業者数4人以上規模で約21万および3人以下規模で約20万ある。従業者数規模は1人から20数万人まで分散している。巨大企業は日本標準産業分類の業種区分を超える商品・サービスを国内外で生産・販売し,傘下に多くの事業所・子会社を抱え,資本管理と事業の部門に分社,商品売上高構成比が連結と単独の決算で異なる。2大印刷業の連結売上高は4割が非印刷物である生活産業資材,エレクトロニクスである。工業統計表では,2大印刷業の業種は売上高の主流が印刷物という理由で製造業(大分類)・印刷業(中分類)の総合印刷業(小分類)に属させられている。調査対象企業数が数十万は企業名簿の突合せおよび集計事務作業を煩雑にしている。調査項目は,集計作業がコンピュータ処理可能になるに伴い現金給与総額,原材料使用料等,在庫額から有形固定資産投資額,リース契約・支払額,海外移転状況,財務指標,数量へと拡大されている。情報通信業基本調査(総務省,経済産業省)は2010年から資本金3千万円以上規模を対象に兼業率,外部委託,今後の事業運営などを調査している。情報通信産業の回答企業数は約5.5千社あるが,前年調査した企業数の約3割が翌年に入れ替わっている。この入れ替わりは機械化,コンピュータ化が国内外における労働生産性を高め,世界規模での投資,産業構造を流動,従業者の生活基盤を変化させている実態を示している。自国の産業統計表だけでは他国の国策,技術進化,企業が直面している経営課題(参考資料3)が分かりにくい。この実態確認には,統計表と有価証券報告書,経営課題調査報告書(参考資料4)との併読が望まれる。併読は業種区分が定義されているという先入観の払拭,自社の立ち位置の見直し,労働生産性向上策創出を補完すると考えられる。まとめ(1)機械化やコンピュータ化,通信網の普及は,既存の情報手段利用者の利便性と社会インフラを進化,業種境界を融解,文字・静止画像印刷業の労働生産性を低迷させている。(2)産業統計表は,産業構造全体の一部分を表す一つの史料であり,労働生産性や全要素生産性,投資波及効果の統計的因果関係の推計,国際経営・生産者の競争力の比較分析に利用されている(参考資料5)。調査機関は作成目的,予算が制約されており,調査対象範囲,業種区分および調査項目を独自に設定している。(3)産業統計表と個別企業の業績報告書の併読は,情報が光速で伝播している現実,先入観の払拭,顧客との対話,紙印刷物情報の価値基盤および信認度を高めると考えられる。参考資料1. The Scottish Printing Archival Trust(1990), A History of the Edinburgh, A Reputation forexcellence.2.経済産業省(2014)『サービス産業の高付加価値化・生産性について』。3. Joseph W. Webb and Richard M. Romano(2010)『Disrupting the Future』Strategies forManagement,Inc.(“Whattheythinkeconomics”で検索,無料でダウンロード可)。4.日本フォーム印刷工業連合会(2015)『フォーム印刷業界の現状と課題』。5.森川正之(2015)『サービス産業の生産性分析/ミクロデータによる実証』日本評論社。4