ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第16巻

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概要

国際印刷大学校研究報告 第16巻

次世代有機ELディスプレイとPE(印刷技術)■利用効率が高い)というメリットがあります。又、生産効率も向上が期待されている6)。印刷技術(プリンテッドエレクトロニクス)を用いて製造コストを低減できる塗布型有機ELの実用化への大きな報告なされた。山形大城戸教授のグループは17種類の低分子有機EL材料を厚さ30ナノメートルの薄膜にしたときのアルコール類への溶解性を調べ、分子量800程度をしきい値に不溶化することを見いだした。アルコール(2-プロパノール)に不溶性を示した2種類の低分子を使って塗布型発光層を形成し、その上層に低分子電子輸送層を2-プロパノールを用いて塗布成膜して形成した。この発光層と電子輸送層の積層構造を用いて、塗布型白色有機ELパネルは輝度100(cd m-2)時に世界最高水準の電力効率34(lm W-1)を示した。これで、塗布型有機ELパネルの材料選択が高分子から、低分子へと大幅に広がり、印刷技術で高効率有機ELパネルの開発が加速するだろう8)。3.まとめ有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイに比べて、応答速度の速さ、高コントラスト、自家発光に消費電力の低さ、及び薄型化、軽量化又小型化へのスマートフォン等の応用に適している。しかしながら、製造プロセスの難度が高い、及び高コストから実用化・普及が遅れている。そのブレークスルーとして、印刷技術即ちプリンテッドエレクトロニクスが期待されて、開発が進められている。印刷法有機ELディスプレイは、日本勢は世界において先行しており、現在、有機ELディスプレイ分野で巻き返すチャンスである。参考文献1)日本経済新聞:2015/12/232)有機ELに賭ける:城戸淳二、ダイヤモンド社、(2013/2)3)JST/山形大プレスリリース:2015/12/184)C.W.TangandS.A.VanSlyke:OrganicelectroluminescentDiodes、AppliedPhysicsLetters,Vol.5.1,No 12,pp.913-915(1987)5)時任、安達、村田:有機ELディスプレイ、オーム社(2005)6)清水貴夫:NHK技研R&D/No.145(2014)7)辻村隆俊:有機ELディスプレイ概論、産業図書株式会社(2012)8)J.Kido,etc:Solution-Processed-Multilayer Small-Molecule Light-Emitting Devices:WhiteEmission with High Efficency,Nature Communications,(2014/12/18)7