薬用草木 ──果実がきれいな薬用草木

4月 カカオ

カカオ

チョコレートの原料となる果実である。
しかし同時にこのカカオの実から得られるカカオ脂は、ちょうど37度で溶け始めるという性質を持っており、かつては座薬の基材として重宝された。
木の幹から直につく小さな目立たない花、それに引き続いてつく実は、つき方があまりにユニークすぎて、一度見ると忘れられない形である。
Theobroma cacao Linné

5月 アンズ

アンズ

少しクリームがかった橙色の小さめのまん丸な実が、広がった木の枝のあちこちにパラパラつく様子は、たくさんの満月が空いっぱいに撒き散らされているように見える。
実の中の堅い核のそのまた中にある、いわゆるアーモンドの可食部に相当する部分を杏仁[キョウニン]といい、苦い味がして咳止めの効果がある。
苦味が少ないものは甜杏仁[テンキョウニン]と称してアンニンドウフ(杏仁豆腐)の風味づけに利用されている。
Prunus armeniaca Linné var. ansu Maximowicz

6月 ゴボウ

ゴボウ

ゴボウはキクの仲間である。小さな花がたくさん集まって塊となり一つの花に見える。
タネが熟すと一つ一つに綿毛がついて飛んで行くようになるが、この綿毛が曲者(くせもの)で、どこにでも入り込む厄介者である。
タネは牛蒡子[ゴボウシ]として発汗・利尿の効果を期待して漢方処方に配合される。根や若い葉茎はもちろん食用にされる。
Arctium lappa Linné

■解説   伊藤 美千穂先生(京都大学大学院薬学研究科 准教授)
■撮影協力 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園
■写真   近江 哲平[富士精版印刷株式会社 撮影スタジオ]
■デザイン 河野 公広[富士精版印刷株式会社 東京支店]
■カラーマネージメント 滝口 章人[富士精版印刷株式会社 プリプレス部]