薬用草木 ──薬食同源

表紙の花 ジギタリス

ジギタリス

最近は鉢植えのジギタリスを園芸店でよく見かけるようになり、園芸植物としての市民権を得つつあるようであるが、もともとヨーロッパで伝統的に浮腫に対して使われてきた薬草である。含まれる強心配糖体成分であるジゴキシン等は近代医薬品として製剤化され、うっ血性心不全の薬として現在でも汎用されているものである。
Digitalis purpurea Linné

1月 フクジュソウ

フクジュソウ

お正月に飾る鉢物としておなじみだが、野生状態で開花するのは節分を過ぎてからである。
春の雪の下で開花している場合もあり、山菜と間違われることがある。誤食すると含まれる強心配糖体の作用で中毒をおこす。
強心配糖体は医薬品として使われる成分もあるが、フクジュソウに含まれる成分は薬用と毒性が現れる濃度との差が小さく、現在は医薬品としては使われていない。
Adonis amurensis Regel & Radde

2月 スイセン

スイセン

ヒガンバナと同じアルカロイド成分を含んでおり、地上部、地下部いずれも食べると中毒をおこす。
しかし、葉の形が似ている上に、根元部分はニラやネギのように薄い膜が、袴のように付いているせいもあってか、ニラとの誤食が絶えない。
ニラでないことは、においで確認できる。年末から節分過ぎまでの野外に花が少ない時期に華やかな花が楽しめる人気の園芸植物でもある。
Narcissus tazetta Linné

3月 ウスバサイシン

ウスバサイシン

細辛(サイシン)という局方生薬の基原植物である。
生薬として使うのは根だけで、地上部はアリストロキア酸という、腎障害をおこすと考えられる成分が含まれているため日本では用いない。
花は写真の通り色も形も地味な上に地面すれすれに咲くためほとんど目立たず、ナメクジなどが花粉を媒介していると考えられている。
Asiasarum sieboldii F. Maekawa

■解説   伊藤 美千穂先生(京都大学大学院薬学研究科 准教授)
■撮影協力 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園
■写真   近江 哲平[富士精版印刷株式会社]
■デザイン 河野 公広[富士精版印刷株式会社 東京支店]