ブックタイトル富士181号 [特集]品質管理365日 今期の反省とまとめ

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富士181号 [特集]品質管理365日 今期の反省とまとめ

『阪急電鉄殺人事件』西村 京太郎(祥伝社)阪急グループ様は当社のお客様で、私は職場も住まいも阪急宝塚線沿線です。阪急三国駅の書店で本書を見かけて、そのままレジに直行しました。鉄道ミステリーの巨匠・西村京太郎さんの作品を読むのは、実は今回が初めてです。自分がすでに十津川警部より年上になっていたことには、実に感慨深いものがあります。一昨年亡くなった渡瀬恒彦さんのはまり役でしたが、私と同じく、50歳のときに脳梗塞を発症されていたと知り、親近感を覚えました。しかし、鉄道は好きな方なのに、なぜ今まで一度も十津川警部シリーズを読んだことがなかったのか、われながら不思議でしたが、仕事で時刻表を扱っていて、プライベートではダイヤは見たくないという心理が働いたのかもしれません。まるで脅迫状を送りつけてきたかのように、納品先の社長室に届いた時刻表からアートナイフが発見された印刷事故は、今も忘れられません。ミスがあり、見本1,000冊は徹夜で訂正シール貼りをして納め、定数4万冊は協力会社にお願いしたのですが、そのシール貼り用のナイフでした。作業中、用があり、冊子を閉じて離席したところ、そのままになり刃物が混入してしまったのです。類似の事故がもう1回ありましたから、カッター・刃は重点管理です。さて、物語は、阪急梅田駅(大阪梅田駅)から始まります。主人公は、沿線住民にはおなじみの宝塚線・神戸線・京都線の3路線同時発車のドローン撮影を依頼された写真家です。しかし鉄道ミステリーらしいのは、阪急梅田駅の時刻表が紹介されるこの冒頭部分のみ。今回、十津川警部が挑むのは時刻表トリックではなく、吉田茂、石原莞爾、そして阪急創業者・小林逸翁(一三)が複雑に絡む歴史ミステリーです。事件は、阪急電鉄の宣伝部に属する女性が殺害されるところから始まります。十津川警部は、写真家と被害者女性の大学の先輩にあたりますが、警視庁所属ですから、阪急西宮北口駅で起きた事件は管轄外です。しかし第二の殺人事件が東京で起きるに及んで、この連続殺人事件の捜査に当たります。どうやら、被害者の女性が自費出版で刊行をめざしていた、未刊の本に事件解決の鍵があるようです。しかし原稿は行方不明。戦時下に反戦を主張し、特高警察により拷問死させられた、阪急の顧問弁護士だった祖父に関する本らしいということまでしかわかりません。東京陸軍幼年学校の一年生として終戦を迎えた筆者は、執筆の意図をこう語ります。「すでに、戦後七十四年。人々の思い出から、戦争の臭いが消えかけている。しかし、今なお、戦争の傷が、何処かに残り、戦争を知らない人にも、影響を与えている筈である」ネットには辛辣なレビューも出ていますが、吉田、石原、逸翁の異色の取り合わは、私には楽しめました。偉大な経営者で文化人でもあった逸翁が、和平を求めた憂国の人でもあったことには、感銘も受けます。「線路は続くよどこまでも」の歌のように、二度と戦争の過ちを繰り返さず、「戦後は続くよいつまでも」と行きたいものです。現代史の闇に、十津川警部が迫る読んだ気になる?!BOOK REVIEWコピー・ディレクター小金 陽介