ブックタイトル白描源氏物語│富士精版印刷株式会社

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概要

白描源氏物語│富士精版印刷株式会社

18源氏の君は、亡き夕顔の君を、今もお忘れになれませんでした。そんな折、亡き常陸宮の姫君についてお聞きになります。琴だけを友に、荒れ果てたお邸で儚はかげなに暮らす姫君の姿に、夕顔の君を思い重ねて、早速、通い始めるのですが、深窓育ちのお姫様で、どうも世間離れしていらっしゃるようです。雪の夜が明けたある朝、源氏の君が見た姫君は、胴長で、しかもだらりと伸びた鼻が末摘花(紅花)のように赤く色づいていました。黒髪のすらりと伸びた後ろ姿は、お美しかったのですが……。二条の院に帰ると、若紫の姫君は雛遊びやお絵描きに夢中でした。源氏の君は、自分の鼻に紅を塗りつけて、「私がこんな顔になったらどうしますか」とお戯れになります。源氏の君も悪おいた戯が過ぎるようで、これから先が思いやられます。親しく心ひかれる色でもないのに、どうしてこんな赤い花(鼻)の女なんかに手を出してしまったのだろう……。「なつかしき色ともなしに何にこのすゑつむ花を袖にふれけん」すえつむはなSuetsumuhana末摘花第六帖