ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第15巻

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概要

国際印刷大学校研究報告 第15巻

日本に於ける出版ビジネスと印刷会社の役割の変革■1)については、当時日本のオフ輪は完成途上であったので、ヨーロッパで実用が進んでいたグラビア輪転を採用することとし、スイスのグラ輪を選定した。2)については新聞用の電算写植を研究の上、写研に雑誌用の電算写植を発注した。3)については、グラ輪が最適と判断した。4)の製本は無線綴じによって雑誌造本の高級感を出すこととした。5)については、広告頁の高品質印刷対応を基準に選定した。また、表紙のカラー印刷はオフセットを使用するが、刷版はドイツで開発が進んでいたPS版を採用することを決め、日本のPS版本格使用のさきがけとなった。上記の研究の中から、[出版社は何をする会社か]「印刷会社は何をする会社か」について再定義をすべきとの課題を持っていた。従来日本では、欧米と大きく違った出版ビジネスが行われてきた。欧米では古くから、タイプライターが普及していて、著者が原稿を機械的に処理していた。それに比べて日本では、手書きの原稿を印刷会社が活字で清書し、それを元原稿として、全体の文章を完成させるのが標準の工程であった。このことが日本の出版のデジタル化、国際化に決定的な遅れを取る要因となった。もちろん日本の出版、出版印刷は日本語の特殊性や日本国内での出版、印刷のマーケットが充分であったことも理由である。2-2.印刷会社への期待印刷会社は、教科書や学術書、マンガ、動画の個人需要への伝達の可読性、流通システムの研究をして印刷物作りを進歩させてきた。同時に社会で必要とする情報の選択と編輯の専門家である出版社の元情報を、いかに早く見やすい誌面にし、手軽に送信する専門集団になる必要があり、それこそが紙媒体と共に、印刷会社でなければできない仕事にすべきである。出版社や広告代理店、グラフィックデザイナーは、古くは手書きの原稿や版下を作っていたが現在は、パソコンを使うことが多い。印刷会社は文字、画像処理の専門家として、編集、割り付けを短時間、格安で受注することで出版社も合理化ができ、印刷会社も自社の工程の合理化も可能になるはずである。印刷の国際化では、マレーシアでの国際会議の特急資料の印刷を隣のシンガポールから翌日納品する例やネパールの高品質観光用印刷物をインドで作るなど国際化は普通に行われている。日本の印刷の国際化が世界中で最も遅れていることの対応も今後の課題である。3.まとめ以上、日本の出版産業の現状と問題点について報告したが、世界の出版ビジネスの経営問題の議論は別研究に譲るとして、本報告では、デジタル社会の中で「印刷会社は何をすべきか」について研究することによって、社会の文化、生活の豊かさに貢献でき、さらに、印刷業務の新分野を開拓することで印刷ビジネスの新発展を得ることができる。ちなみに米国の印刷業は、社会の情報のインデックスとしての雑誌作りや、その電子化された情報の加工、編集を担当することで仕事が増大して印刷業の新分野への発展をしている。参考資料第16回国際出版学術会議(日本、中国、韓国の出版研究者)の報告(2014)17