ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第15巻

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国際印刷大学校研究報告 第15巻

■国際印刷大学校研究報告第15巻(2015)『筑紫新聞』印刷文字と「諏訪神社・木彫文字」の同一性大串誠寿Similarity between Letters on“The Chikushi Newspaper”and of“Woodblock in The Suwa Shrine”Seiju OGUSHI1.はじめに本研究は、黎明期の新聞文字の来歴を明らかにするため、明治初期の地方紙『筑紫新聞』について分析を行ったものである。研究の結果、同紙の版式は鋳造活字版であり、印刷文字は当時主流をなした本木昌造系活字であることを明らかにした。また、この分析の過程で、「諏訪神社・木彫文字」が『筑紫新聞』の文字と同一であることを確認したことから、同木彫文字が鋳造活字の種字であることを示した。『筑紫新聞』は西南戦争に伴い、1877(明治10)年3月から同年9月まで現在の福岡市で発刊された報道新聞である。『筑紫新聞』第壱號の表紙と同紙p.4とp.5の見開きを図1に示す。『筑紫新聞』は縦195mm、横133mm。和紙に片面印刷して2つ折りにした「丁」を、7枚束ねてコヨリで綴じた和装本型の新聞である。本文文字は約4.8mm四方で、31字詰め図1筑紫新聞の写真11行を基本体裁としている。同紙は福岡県内で実物を確認できる最も古い新聞で、現在の九州地方ブロック紙『西日本新聞』の始祖にあたる。同新聞社発行の社史などから『筑紫新聞』の概要を知ることはできるが、版の制作や印刷手法に関しては記述がなく不明である。当時の印刷資材なども失われており、資料面から版式や文字の出自を確定することは困難である。そのため、実物の印刷面を分析することにより「版式の解明」と「文字の出自の解明」を行った。2.版式の解明印刷面の文字から木版と鋳造活字版の版式の別を簡明に判定する方法を考察した。書誌学などの文献を調査したが、体系的な手法は得られなかったため、断片的記述から版式を判別する指標を抽出し、以下の原則にまとめた。「同一印刷面上に現れる同一字体の文字の字形を比較して、明白な骨格・結構の差異が確認される場合、それらは同一母型から鋳造された活字ではありえず、手作業で彫刻された木版であると判断できる」。この原則に基づき、コンピューターの画像で字形の異同を提示しながら論証を行う「版式判定法」を定めた。同判定法は以下の6手順を基本とする。1)同一印刷面に出現する同一字体の複数の文字をサンプリングする。2)サンプルにPhotoshopで輪郭トレースを行い輪郭線画像を得る。3)輪郭線画像を重ね合わせて照合を行う。4)骨格・結構に差異が認められる場合は手作業により製作されたものと言えるので木版と判断24