ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第15巻

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国際印刷大学校研究報告 第15巻

■国際印刷大学校研究報告第15巻(2015)階調値三浦澄雄Tone valueSumio MIURA1.初めに印刷関係のISOでは階調値という単位が使われているが日本ではあまり使用されていないので使用例を紹介する。2.濃度、網点面積率階調という用語は印刷では昔から使われていて画像の濃淡を意味する用語である。階調再現曲線は原稿の階調が印刷物上で階調がどのように再現されたかを表す曲線である。階調再現曲線で使用される階調の単位は濃度で(1)式のように定義されている。D=log(1/R)…(1)Dr=log(1/R?)R?= Is…(2)R= IsIoここでD:反射濃度、R:印刷面の反射率、Is:資料の反射光量、Io:完全拡散白色面の反射光量濃度には相対濃度があり次のように決められている。ここでDr:相対濃度、R’:印刷面の反射率、Ip:印刷用紙の反射光量基準になる白色物として標準白色板を使うか、印刷用紙を使うかの違いである。階調の単位に濃度値が使用されるのは目の濃淡感覚と濃度値が比例関係にあるためである。反射率を用いても階調を表現することができるが濃淡感覚と一致しないことから使用されなかった。一方、実際的立場から網点面積率が階調を表す単位として使用された。網点(AM)印刷は網点の大小によって階調を表現する印刷法でコンベンショナルグラビアを除く多くの印刷法で使われている方法である。網点面積率というのは印刷面積に対する網点の面積の比である。網点が面積を持たない時の面積率は0%で、印刷全面に印刷インキが印刷されたベタの状態では網点面積率が100%になる。製版者、印刷者が階調を変えようとする場合、階調を濃度で表現するより網点面積率で表した方が具体的で判りやすいので階調の単位として網点面積率が使われた。また印刷においてドットゲイン(版上の面積率が印刷によって増加する)は避けられないが、ドットゲインの現象を説明するのに階調表現の単位として網点面積率が使われてきた。さらにグレイを再現する時のCMYの階調値は網点面積率を使用している。中間調のグレイを得るのにC版60%、M,Y版50%という具合に網点面積率を利用している。また印刷物で再現できる上限と下限の値も網点面積率を利用している。例えばオフセット印刷でコート紙を利用した時最小の階調は2%で最大の階調は98%とISOで決められていてこの値は従来の網点面積率である。カラー印刷においてCMYK版のインキを100%できないので4版の階調の総和を規定していて枚葉印刷の場合330%を越さないことになっている。階調という用語は画像の濃淡を表す意味で使用されているが、階調を表す単位として濃度が使われたり網点面積率が使われている。グラビア印刷やFM印刷では網点面積率に相当するものがない。網点印刷だけでなくグラビア印刷やFM印刷にも利用できる階調値が考え出された。Ip6