ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第18巻|富士精版印刷株式会社 FUJI SEIHAN PRINTING Co.,Ltd.

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国際印刷大学校研究報告 第18巻

8■国際印刷大学校研究報告第18巻(2018)田中 崇デジタルマーケティングの研究Studies on the Digital Marketing in Print media IndustryShu TANAKA1、はじめに現代社会はデジタル社会と言われている。20世紀最大の発明と言われる印刷は、情報化社会の中心的情報媒体であった。現在、情報は画像を含めてデジタル化されているが、その情報を、そのまま送受信するのではなく、その情報を分析して各種経済活動に利用することが求められている。そのような手法を『デジタルマーケティング』と総称している。本報告は、印刷会社が扱う情報を、主として販売活動に利用する手法、即ち、『デジタルマーケティング』の基礎について報告するものである。2、情報媒体、広告媒体の情報伝達システムの変革人類は古くから音やのろしで情報交換し、その後、壁絵や木片、竹片を媒体として、文字や記号を記録してきた。二千年ほど前には紙の発明があり、数百年前には、グーテンベルグや奈良時代の経本の印刷が実用された。戦後ラジオや映画による情報の大衆化を経て、一般家庭のテレビ時代が、教養、娯楽から、販売広告の主体となった。食品、衣料や生活用品から書籍、雑誌などの出版物も従来は店頭販売で、対面販売であった。長い間、広告は、新聞、雑誌、ちらし、屋外広告などの紙媒体が中心で、印刷業界も、カタログや新聞折込ちらしなどの商業印刷物が最大の受注品で、書籍や雑誌も日本経済の拡大バブルに乗って大きな発展を遂げてきた。また、上記の媒体の補強ツールとしてラジオ、テレビ、パソコンが利用されてきた。しかしこの数年の印刷物広告は、マーケッティングのコンサルタント会社startialab(www.startialab)の報告でも、この数年、日本の印刷会社の商印、出版の仕事は大きく減少し、各社ともWebによる新しい分野の仕事を取り入れようとしていると報告している。EMarketer(世界的な市場調査会社)の報告によると、現在、世界人口の45%、約32億人のインターネットユーザーが居て、パソコンやスマホの普及がもっとも進んでいるアメリカでは、アメリカ国内では、テレビなどの広告量に対してスマホなどのいわゆるデジタル広告量が全体の35%と増大していて、2018年には広告全体で15兆円に拡大すると推定している。インドでは、広大な国土で、電話線がなくても通話できるスマホが65%の大人が利用している世界でも有数のデジタル情報社会になっている。小学校から英語とヒンズー語を学習しているという、バックグランドがあり、毎年40万人もの科学系大卒が月給5万円で生活できる社会なので、マイクロソフトのソフト開発や欧米の各種機材の利用ガイド、苦情処理は多くがWeb によってインドで対応している。また、FIPP『国際雑誌連合』(The International Federation of thePeriodical Press)でも広告はデジタル化に対応して、紙中心から、Web とのハイブリッド展開や、広告の国際交流の推進が進んでいる。と報告している。また、雑誌は情報伝達するだけでなく、販売情報やイベントや講習会のアレンジなどの核にするなど利用の多角化を進めている。と報告している。そして、すでに、先進国では2016年にはデジタル広告がテレビ広告と同じ分量になっていると報告している。日本でも、日本広告業協会(JAAA)や電通の報告では、2015年の日本の総広告費は約6兆円で、