ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第18巻|富士精版印刷株式会社 FUJI SEIHAN PRINTING Co.,Ltd.

ページ
25/44

このページは 国際印刷大学校研究報告 第18巻 の電子ブックに掲載されている25ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

国際印刷大学校研究報告 第18巻

23IoT による印刷機稼働状況の見える化について■3. IoTによる印刷機稼働状況の見える化小森コーポレーションのKP-Connectは、IoT(Internetof Things)の技術を利用して、こうした印刷機稼働記録ソフトウェアの課題解決を図っている。KP-Connectでは、小森製印刷機(KHS-AI ver.5以降搭載機)の稼働データが自動でインターネットクラウドに送信され、その分析結果をインターネットブラウザで確認することができる。印刷会社でユーザーIDを付与されたメンバーが、自社の印刷機に関する、日報、週報、月報や各種の指標(KPI : Key Performance Indicator)のトレンド分析などを、パソコン、タブレット、スマートフォンで確認できる(図1)。分析データは、印刷機の稼働分析として考えうる限りの指標を網羅しているため、A) 必要な場所(部門)に、必要な情報が、必要なタイミングで伝達できないという課題へのソリューションになると言えるだろう。KP-ConnectがIoT技術を採用した理由は、「いつでも、どこでも」というクラウドの利便性のみが理由ではない。B) 生産性阻害の問題点と解決策まで提示できていないという印刷機稼働記録ソフトウェアの課題を考えたとき、印刷会社単独では、印刷機に起因する問題点についての発見と解決が困難であるという現実に突き当たる。そのため、印刷機メーカーである小森コーポレーションが印刷機稼働情報を共有し、小森の技術専門家によって印刷会社のサポートを行っていく必要がある。その情報共有の方法が、クラウドでデータを活用するIoT なのである。印刷機の生産性向上という目的のためには、印刷会社と印刷機メーカーが情報を共有し、タッグを組んで問題解決にあたるのが、最も現実的で効率的な方法だと考えている。4. KP-Connectによる生産性向上前段で述べたとおりKP-Connectは、印刷会社の印刷機稼働ログを小森が共有することによって、生産性阻害のポイントを探り、その解決策の提示と支援を行うトータルサポートの仕組みである。小森では、その技術サポートを行うためにK-Supportという有償のコンサルティングメニューを用意している。KP-Connectで見える化を行い、K-Supportで問題解決を行うという合わせ技である。既にこの仕組みを利用して生産性向上の成果を出している印刷会社が複数社ある。ある印刷会社では、印刷の刷り出し濃度が安定せず色調整に苦労しており、KP-Connectで確認すると、試刷り枚数が1ジョブあたりの平均373枚あることがわかった。そこで、K-Supportによる技術サポートを実施したところ、試刷り枚数は183枚に半減して、準備時間も削減することができた(図2)。その際の具体的なサポート内容としては、以下である。1 小森の技術専門家がKP-Connectの情報を元に対応計画を作成2 小森の技術専門家が印刷工場に出向き、印刷機メンテナンスと、刷り出し濃度を安定させるためのインキ供給量のパラメータの最適化調整を実施3 印刷会社自身での自律的な運用標準化に向けた、印刷オペレータへのトレーニングを実施4 KP-Connectによる状況確認と定期訪問サポート、アドバイスの実施以上図1 KP-Connect図2 刷り出し濃度の安定化