ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第18巻|富士精版印刷株式会社 FUJI SEIHAN PRINTING Co.,Ltd.

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概要

国際印刷大学校研究報告 第18巻

3『情報通信時代の印刷業』■①顧客名、受注額、ニーズの動向分析、②顧客別仕様書の作成,価格設定、③原稿の編集、④印刷作業・日程の指示、⑤財務、資材,配送の計画と変更の認承、⑥進捗の隘路や後戻り作業の削減、⑦機器の有効利用、⑧発注主への進捗状況報告・認証、⑨業務の24時間管理に利用している(図2)。デジタル印刷はオフセットと比べて刷版作成から印刷までの所要時間が短く、受注後1、2日以内の納入が求められる小ロット印刷(パンフレット、チラシ、カタログ)に適する。顧客のcomputerを用いる原稿作成とデジタル送信はデジタル印刷機導入の契機となった。印刷業は全企業がデジタル印刷機を購入、小ロットと即納に対応している。顧客の小ロット・短納期物の要求、発注額、売上高比率は地域、個々の企業で異なる。中規模以上の印刷業の総印刷ページ数に占めるデジタル印刷枚数の比率は、米欧企業が2000年頃の零%から16年に40%前後、日本の先行企業が米欧から約8年遅くれてERPを導入、16年に20%前後と推定されている。デジタル印刷機の機種は簡易・スタンドアロン型からERPに接続可能な大規模・サーバー型まであり多様である。ERP導入の必要性・投資は企業収益規模・貢献度、印刷機の機能とERP接続の可否に影響される。購入機種、稼働率、印刷機とERPの接続実態は複雑、不詳である。しかしながら日本4)の国内アンケート調査によればデジタル印刷物の売上高がオフセット印刷の売上高を超えている企業は、購入後3 ~ 10年で6%、3年未満で5%、2015年から20年後に超えることが無いとの予想が14%ある。デジタル印刷機購入の推進役は営業部54%、生産部34%、新規事業部12%である。また、印刷業の収益率は情報通信業の1 / 3.5 ~ 1 / 10.3である(表1)。表1 印刷業、情報通信業および情報サービス業の従業者1人当たり売上収益率企業等数従業者数事業所売上額売上額収益率倍率標準産業中分類番号社人百万円/事業所百万円/人%※ ※※印刷・同関連業 15 26,418 381,742 250.7 20.1 1.5 1.0通信業 37 1,174 170,100 4,548.6 104.3 12.7 8.5放送業 38 816 68,142 1,828.6 59.1 6.3 4.2情報サービス業 39 21,893 910,252 593.4 19.8 5.6 3.7インターネット付随サービス 40 2,077 36,455 538.6 34.0 15.4 10.3映像音声文字制作 41 10,788 224,291 400.1 27.1 5.0 3.4出典:総務省・経産省『平成24年度経済センサス活動調査報告』第4巻。※:(売上収入額-費用総額)/売上収入額。※※:印刷業の収益率を1.0とする比較値。米国の印刷業はERP導入の先行国である。2000年代の1人当たり売上高5)は自国内産業群の中で下層、2016年の雇用者数は1996年比で54.8%へ収縮、全雇用者数に占める比率は96年の0.68%から0.32%と半減している。GDPと雇用の中核は印刷業を含む製造業から教育・健康およびプロフェショナル・ビジネス・サービス業へ移行中である(表2)。図2 統合管理システムの“オフセット”と“デジタル”の印刷業務の流れ出典:富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(2016)『印刷のできるまで』印刷学会出版部を参照し加筆。