ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第19巻

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国際印刷大学校研究報告 第19巻

11印刷統計■1 印刷産業の統計現代社会では統計値は欠かせないものである。日本の産業全体の状況を知るのにGDP(国内総生産)を参考にする。昨年のGDP値を見て今年の日本経済は順調そうだとか判断する。各人が興味を持つのはGDPのような国全体の統計値だけでなく所属する産業の統計値も興味がある。たとえば、印刷人なら印刷産業全体の出荷額だけでなく商業印刷の出荷額はいくらか?包装印刷の出荷額はいくらか?など各人が関係する事業のことが知りたくなる。しかし統計値を細かく調査をする事は大変なことである。そのため大きな枠組みの統計値は行政が行い、細かな統計値についてはそれぞれの任意団体が調査を行っている。過去の統計値を基に将来の予測をすることは統計値の利用法の一つである。経済の統計値は何か事件(リーマンショックのような)が起こらない限りある傾向を持って変化している。来年度の経済予測をしようとする場合、過去何年間の統計値から推定する。時系列解析という。時系列解析から得た将来のGDPを基に印刷産業の売り上げを予測することも統計値の利用法である。印刷業の売り上げはGDPの伸び率と同じ割合で伸びていないが、ある比例関係がある。印刷の伸びとGDPとの間にある相関関係がある。どのくらいの相関関係があるのかを相関係数と言い、相関性が高いのでGDPから印刷の統計値を推測することがよく行われている。印刷産業の出荷額が20世紀末から減少していることは印刷人の間で話題になっている。出荷額の時系列図を図1に示す。図1の横軸は西暦で、1997年スタートで2015年までである。縦軸は印刷産業の出荷額で単位は兆円である。この図の基になる統計値は日印産連が産出したもので、印刷産業の状況を見るのによく使われている。図1を見ると印刷産業の出荷額は1997年を最高(8兆9千億円)に年々減少していて2015年には5兆4千億円まで減少している。しかしここ数年の減少幅は小さくなっている。印刷産業が提供するものには印刷物だけでなく、電子製品や印刷関連のサービスがある。大手印刷企業に限られるが印刷技術を利用した電子製品を製造している。印刷は微細な像を作ったり、薄い皮膜を均一に塗布する技術を持っており、暑い皮膜が要求される場合は印刷方式を変えて製造する技術を有している。古くはTV受像管のシャドウマスクや電子回路、アンテナなどを製造した。IARIGAIの研究レポートによると燃料電池の触媒層や交流用増幅器、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池の製造にも印刷を利用している。三浦澄雄印刷統計printing statistic datesSumio MIURA1997657892000200520102015出荷額西 暦(兆円)(年)図1 印刷産業出荷額