ブックタイトル国際印刷大学校研究報告 第20巻

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概要

国際印刷大学校研究報告 第20巻

11『印刷メディア産業の技術進化』■1930 年代の大恐慌回復期は印刷機械を過大に輸入した印刷業を当業界で最大の経営規模にした。ラジオ放送は米国より20 年遅れの1925 年(大正14)に許可された。(3) 第2 次大戦(1941~45 年)および朝鮮戦争(53 年)の特需の終了は,主要産業を工作機械および石炭・石油の輸送業へ替え,工業製品の販売・宣伝に要する印刷物の需要を急成長させた。欧米に駐在する日系企業は商用文を現地のタイプライター・電算機で作成し,FAX で送信,電磁気媒体に収蔵した。テレビ放送網は英国より24 年遅れの53 年に本格稼働,民間テレビの放送が58 年に許可された。(4) 国内の電気・事務機器業は60,70 年代に電算機,湿式感光複写機,静電気トナー複写機,和文の電気式文書作成・印刷機を生産販売した。通信回線網は69 年にIBM 社から電算機を導入した経済系新聞社の植字作業を不用にした。電算機は政府が71 年から工業統計処理,一般企業も事務処理,機械制御に導入した。情報媒体は紙から電波へ移行した。(5) 日本の経済台頭は80 年代に日米貿易摩擦が勃発,繊維・鉄鋼・テレビ・工作機械の輸出を自主規制させた。日本政府・企業は海外市場と低労働賃金国を求めて中国・アジアへ工場・生産技術を移転した。国内では製造業が空洞化,中央研究所が縮小,南米・東南アジア・中国の日系人が技術実習生の名目で入国可能となった。(6) バブル経済は92 年に崩壊した。労働者数とICT への投資は97 年に頂点に達した。また,核家族化とGDP の低迷は人口数を減少,高齢者の社会保障・介護制度の整備,雇用・労働条件の改善のためICT への依存度を高めている。表1 米国の全雇用者数に占める産業別雇用者数比(A)および1996年比(B)年2016 1976 1996 2016 1976 1996 2016全雇用者数144306 100 100 100 66.3 100 120.4千人A% A% A% B% B% B%民 間 企 業 数122083 81.13 83.7 84.6 64.3 100 121.7製 造 業 数12348 22.05 14.38 8.56 101.7 100 71.6Computer 1048 - 1.46 0.73 - 100 60.0印刷関連447 - 0.68 0.31 - 100 54.8小売業数15820 11.28 11.8 10.96 63.4 100 111.9情報(internet除く) 2772 2.66 2.45 1.92 71.8 100 94.3金融・保険・不動産8285 - 5.86 5.74 - 100 118.1プロフェッショナル・ビジネス20136 7.91 11.23 13.97 46.7 100 149.6技術サービス8877 - 4.43 6.15 - 100 167.1スペシャルデザイン140 - 0.09 0.15 - 100 130.6教育・健康22616 7.24 11.48 15.67 41.8 100 164.3宿泊・飲食13386 - 7.72 9.28 - 100 144.6出典:U.S. Bureau of Labor (2017)data.bls.gov/pdq/SurveyOutServlet.業種の名称・区分は各国のその時代における行政統計資料作成のための分類である。日本では売上高50%を参考に業種の帰属先が決められる。各国は自国の国情に応じて名称,分類,帰属を随時,大幅に再編成,変更している。表2 産業別実質粗付加価値額(百万円),伸び率(%)および構成比(%)産業食品業繊維・衣服 製材木製品 印刷・製本 化学製品窯業金属・製品 機械雑製品全体74年価値額構成比131.1 24.6 18.4 0.42 28.5 8.2 2.6 2.5 28.0 244.758.3 10.1 7.5 0.2 11.7 3.3 1.1 1.0 11.4 100伸び率1890年1.6 5.0 1.1 7.9 1.5 1.1 4.0 4.1 2.3 2.01909 2.6 10.6 2.1 59.3 3.9 3.8 11.5 36.2 3.5 4.21925 5.7 24.1 3.3 280.5 8.3 12.4 82.3 161.1 4.4 10.61935 6.2 49.6 8.3 44.3 24.5 23.7 192.9 558.7 8.1 2.21940 6.9 45.2 16.1 596.2 39.6 25.4 313.7 1309.5 9.3 33.440年構成比11.2 13.6 3.6 3.0 13.8 2.5 10.0 40.0 3.2 100出典:摂津,Jean-Pascal,深尾(2016)「明治期経済成長の再検討―産業構造,労働生産性と地域間格差」一橋大・経済研究,Vol.67,No.3,pp.193-214.のデータを基に著者作成。付加価値額は1934-36年を基準に補正,伸び率を1874年基準で算出している。